「おいしい」と「あったかい」に溢れた、ここはネパールの実家
はじめまして!ばばようこと申します。
2016年より、東京都内の日本語学校で、留学生に日本語を教えています。学生たちと食事をする機会があると、そのたび「先生、これ食べて!」「これもこれも!」と初めて出会う料理をすすめてくれて、世界の料理をもっと知りたくなりました。私の生まれ育った多摩地区にある、世界各国の「おいしい」をたくさん伝えられたらいいなと思います。
店の紹介
今回ご紹介するナマステカトマンズは、吉祥寺駅北口から徒歩約5分、中道通り商店街にあります。地下にあるお店ですが、道沿いに看板やメニュー、そしてネパールの国旗が出ているのですぐにわかります。
階段を下りると、店内は異国情緒たっぷり。
壁にはネパールの絵画や写真がずらりと貼られ、天井には色とりどりの提灯。
さらにネパールの音楽やラジオが流れています。なぜだか懐かしい雰囲気で、初めてなのにもう何度も訪れたことがあるように感じました。さながらネパールの実家に帰ってきたかのようです。
料理の紹介
カレーとナンのセットやアラカルト料理もありましたが、今回は「ナマステカトマンズセット」を頼みました。
ナマステカトマンズセット
モモ(ネパールのしゅうまい)、チキンチリ、生野菜のサラダ、ネパールの漬物、そして大きなドーナツ型に盛られたご飯の真ん中にたっぷりのチキンカレーとボリューム満点のセット。普段なかなか食べる機会のないネパールの料理を、しっかり味わえるメニューです。
モモは小籠包のような見た目で、外の皮はモチモチ。タネのお肉はチキンとマトンのミックスとのことで、羊肉の香りとコクがありながらもあっさりしています。そこにニラなどの野菜と香辛料が加わり、スパイシーでいくつでも食べられそうです。
ご飯の真ん中のチキンカレーには、大きなチキンがごろりと入っていました。よく煮込まれていて、口の中で崩れるやわらかさです。辛さはありますが、口当たりがとてもマイルドで食べやすいカレーです。注文のときに辛さやご飯の量を聞いてくれるので、カレーは食べたいけど辛いものが苦手な方、反対に辛めのものが食べたい方も安心です。
漬物は酸っぱさの後に辛さを感じるもので、さっぱりしています。チキンチリは香ばしく、日本人には親しみやすい味でした。全体的にスパイスの効いた辛めのメニューである中、生野菜のサラダは甘めのドレッシングがかかっていて、辛さを和らげてくれます。
座席から厨房がよく見えるので、ナンを焼くところを見学させてもらいました。ナン生地をしずくのような形に伸ばし、大きな窯の中に貼りつけて焼きます。熱い熱いと言いながらも、ナンを焼くラマさんは笑顔を絶やしません。おいしそうだけど今日はもうお腹がいっぱいで食べられない、と言うと「また今度ね!」といたずらっぽい顔で返事をしてくれました。
接客をしてくれたのはアルナさん。親しみやすい雰囲気とこまやかな気配り、そして何より笑顔が素敵です。
料理が出てくる前に「おねえさん待っててね、今おいしいのできるからね」とやさしく声をかけてくれたアルナさんは、まるで久しぶりに会う実家の母のよう。出来立ての湯気を立てる料理を運んできてくれるその姿に、故郷に帰ったかのような気持ちにさせられます
アルナさんは忙しく接客をしながら、常連のお客様、デリバリーの配達員など、誰にでも同じようにあたたかく接していました。
お店は1996年開業とのことですが、飲食店の多い吉祥寺で長い間愛されているのも納得です。急に寒くなった日の取材でしたが、スパイシーな料理で体も、そしてお店の方々の笑顔で心もあたたまりました。