蓮のように華やかな本格的ベトナム料理店
ベトナム料理店SEN8は、2022年7月にオープンしたばかりのとても新しいお店です。八王子駅から徒歩5分、飲食店や人通りの多い場所にあります。すぐ隣に「アジア物産展」という、ベトナムをはじめ、東南アジア各国の食材を扱うお店があります。
なんとなくわくわくするような食材のお店と、レストランを経営するベトナム人のズンさんにお話を聞きました。ズンさんはお姉さまご夫婦と共に、お店を支えていらっしゃるようです。
お話を伺った方/ズンさん
ズンさんは日本語がとてもお上手で、何を話してもスムーズにコミュニケーションができました。まるで日本人と会話をしているような感じです。10年くらい前に日本に来て、日本語学校在学中に、N1(日本語能力試験の最難関級)を取得したそうです。
執筆者は日本語学校で働いていますが、非漢字圏出身のベトナム人がN1に合格するのは、非常に難関です。優秀で、努力家の学生さんだったのでしょう。そして卒業後、日本の短大で勉強したそうです。
その後、ベトナムに帰国したりもしましたが、日本に戻ってきて、食材を扱うお店のニーズを知り、八王子と福生に食材のお店を開店されたそうです。福生も日本語学校に通う東南アジアの学生がとても多い町ですね。留学中の学生や、日本で仕事をする東南アジア人には、とても嬉しいお店であること、間違いありません。そして2022年7月には、これらの食材を使った、ベトナム料理店「SEN8」をオープンさせたわけです。
コロナによる諸規制が緩くなってきてからの開店だったので、あまりコロナの影響もなかったようです。知人のベトナム人や、他のお店でお料理に携わっているベトナム人で、お店の料理を作り上げているようです。
お店の名前「SEN」というのはベトナム語で「蓮」を意味しているそうです。蓮は、ベトナム航空のロゴマークにもなるくらい、ベトナムでは馴染み深い花のようです。「8」は八王子を意味している、ユーモアある名前です。「ベトナム料理の中でも、ベトナム人ネイティブにかなり近い、ベトナムの居酒屋風のお店なんです」とズンさん。八王子には、ベトナム料理店は他にもありますが、最もベトナム風のお店のようですね。
店内は、南国風の装飾で、本当にベトナムに来たような雰囲気がたっぷりです。奥には、パーティーの主役席みたいなところもあります。お客さまは、ベトナム人が多いようですが、日本人もけっこう来るようです。ズンさんのお話では、ベトナム人は仕事後に集まることが多く、22時に閉店のお店なのに、飲み会がなかなか終わらないとか…。でも、せっかくの楽しい時間なのでと、ある程度見守っていたらとても遅くなってしまって、寝不足になることもあるようです。「ベトナム人は、お酒を日本人のように割ったりしないで、ストレートで飲むから」とおっしゃっていたズンさん。大変な話を、とても明るく温かく、されていました。ベトナム人たちにとって、オアシス的なお店なんでしょうね。
メニューも本当に、ユニークです。カエルの唐揚げやら、ダック焼やら、滅多に日本のレストランでは見られないものもあります。ベトナム料理の定番のフォーもあります。牛だしのスープも美味しく、パクチーもいい感じに香っていて、大満足な味です。
バインミーは、味がはっきりしていて、これも本当に美味しいです。
それから、バインセオも本格的です。
野菜やシュリンプなどを挟んで、ハサミで切って、ライスペーパーでくるんで食べます。スープにつけて食べると、また味の変化を楽しめます。美味しいし、ヘルシーで、また食べたい味でした。
鶏軟骨のナンプラー炒めは、店内の3種類のソースと共に食べると、お酒のいいおつまみになります。
日本人向けのメニューらしいですが、ハイボール飲み放題が1時間600円でした。これは、破格ですね。ベトナムのお酒も、もちろんいろいろあります。
それから、店内にさとうきびをジュースにしてくれるマシンもありました。搾りたてのサトウキビジュースもいただけます。おいしそうなベトナムスイーツも、いろいろありますね。
とても温かい雰囲気のお店なので、ベトナム人にも、そして日本人にも、ゆっくりできるお店になっていると思います。泥の中からでも、美しい花を咲かせる蓮のような、主張しすぎない華やかさのあるお店だと感じました。