幸せなひとときを紡ぐお店で、こだわりの一杯と優しさに溢れたお菓子を

お店の紹介

吉祥寺駅北口から約10分程の場所にあるのが、本日ご紹介する「珈琲 笠間」。自家焙煎、ネルドリップのコーヒーとグルテンフリーの焼き菓子を提供しているお店で、GALLERY BARチャーチウッド(CHURCH WOOD)のシェア店舗として10時から16時に営業しています。(2025年2月以降は単独のお店として営業をすることを予定されており、それに伴い営業日も変更がされているので、訪問時は随時Instagramをチェックしていただくのがベターです。)
白壁の階段を上がると現れる、インテリアショップのような素敵なお店。

店内は黒を基調とした、シックで落ち着く雰囲気。大きなレザーのソファ席やテーブル席が配置されており、ゆっくりとした時間を過ごせる空間づくりがされています。

料理の紹介

席に座ると、奥様が丁寧にメニューを説明してくださいました。
どのメニューも惹かれるものばかりでしたが、今回はお店のキャロットケーキをイギリスの郷土菓子としてご紹介させていただくという名目で伺ったため、デザートからは無農薬人参のキャロットケーキ(480円)をオーダーしました。

グルテンフリーで乳、卵など不使用であることに加え、にんじんも無農薬のものを使うなどこだわっており、アレルギーがある方や体に優しいお菓子を食べたいという方にもうってつけのお店です。

続いて、合わせるコーヒーを選びます。
本店のコーヒーは、さまざまな国の豆を自家焙煎したネルドリップで抽出したもの。初めてなのでまずはブレンドを試してみたいと考え、売り切れていなかった2種類のメニューから、酸味が少なめだと伺ったエチオピアの豆の玄(750円)をオーダーしました。

濃いめ(粋)や軽め(風)というような抽出方法まで選ぶことができるのがなんとも本格的。一見すると注文方法が難しく感じるかもしれませんが、注文時に親切に教えていただけるので、本格的なコーヒーを初めて召し上がる方も心配はいりません。本来の味わいを楽しみたかったので筆者は濃さは変えずにオリジナルでオーダーしました。

当初テーブル席に座っていたのですが、オーナーの笠間さん(ご主人)が席まできてくださり、「カウンターにいらっしゃいませんか?その方がコーヒーをつくるところを間近で見られますし、作業をしながらお話もできると思いますので」とおっしゃってくださったため、カウンターに移動をさせていただきました。取材のことを考え、お気遣いくださった笠間さんの優しさに感謝した瞬間でした。

ネルドリップでゆっくりと淹れるコーヒーは見ている時間も楽しく、興味深く見入ってしまいます。コーヒーと向き合う笠間さんの姿にも強い情熱を感じ、さらにその一杯の重みが増すような気持ちになります。
器やコースターもお店の雰囲気とあっていて、よりコーヒーの存在を際立たせる気がしました。

コーヒーをいただき、まずびっくりしたのはその飲みやすさ。実は酸味が強いエチオピアの豆はどちらかというと苦手な部類だったのですが、まったく酸味や癖がないマイルドな味わいに感動しました。

さらに、キャロットケーキの美味しさにも衝撃を受けました。特記すべきは、生地のみずみずしさと、しっとりねっとりした食感。ぱさついたイメージのあるグルテンフリーの概念を覆す食感とにんじんの自然な甘さ、スパイスのかぐわしい香りとアクセント、レーズンやくるみなどのざくざくとした食感などすべてが相まって絶品のひと品でした。ケーキはコーヒーとの相性も抜群。飲みやすく美味しいコーヒーと、グルテンフリーの体に優しいスイーツで楽しむティータイムは、最高のひとときでした。

お話を伺った方/笠間ご夫妻

珈琲について

ーーお店では東ティモールやタイ産などの珍しいコーヒー豆を使っていますよね。私はコーヒーが好きでいろいろなカフェに行くのですが、などなかなか見かけない産地の豆が揃っていることに驚きました。こうした産地の豆を揃えていることにはオーナーさんのこだわりがあるのでしょうか?

笠間さん(ご主人)「特に産地にこだわるというよりも自分がよいと思うものを揃えた結果、このようなラインナップになりました。アジアのコーヒー豆は日本ではあまり知られていませんが、おいしいものが多いのです。現在は以前よりもアジアの豆が手に入りやすくなったので揃えたものを自分で飲みやすくブレンドしています」

ーーネルドリップとはどのような手法ですか?

笠間さん(ご主人)「ネルドリップとは日本独自の抽出方法で、ネルと呼ばれる布製のフィルターを使ってコーヒーを淹れる方法のことをいいます」

ーー実は私は酸味があるエチオピアの豆はこれまで苦手だったので、いただいてみてまったく酸味なく飲みやすいコーヒーの味わいにびっくりしました。何か特別なことをされているのですか?

笠間さん(ご主人)「確かにエチオピアの豆は酸味があると言われていますし、苦手な方もいらっしゃいますよね。しかし、酸味や苦味などは焙煎によっても変わるんです。酸味は得意でない方が多いので当店ではメインの豆をエチオピアにし、飲みやすくなるよういくつかの豆をブレンドして作っています」

ーーいくつかの豆をブレンドしているとおっしゃっていましたが、どういった割合でどのような豆をブレンドされているのですか?

笠間さん(ご主人)「エチオピア、ケニア、インドネシアの豆を混ぜています。メインをエチオピア、その中にバランスの良い豆としてケニア、隠し味にインドネシアの豆を入れています。わかりやすいようにメニューにはメインの豆を記載しています」

ーーブレンドをされる上でこだわっていることはなんですか?

笠間さん(ご主人)「すべてのお客様に対応できるよう、飲みやすさなどを考えてブレンドをしています」

ーー珈琲の豆は定期的に変えているのですか?

笠間さん(ご主人)「はい、変えています」

ーーお店には海外のお客様はいらっしゃいますか?

笠間さん(ご主人)「はい、いらっしゃいます。多いのは中国や韓国などアジアのお客様ですが、時々西洋人のお客様もいらっしゃいます」

ーー皆さんお店のどういった点に魅力を感じていらっしゃるのでしょうか。

笠間さん(ご主人)「ネルドリップのゆっくり淹れる手法を、カウンターで実際に見ることができるのが楽しいと言われることが多いです」

近年、中国のコーヒー店が日本に多く上陸するなどアジアでのコーヒーブームは高まっているので、そうした意味でも珍しいネルドリップでの手法を見たいと考える海外のお客様は増えていくように感じました。

お菓子について

ーーグルテンフリーの概念を変える程おいしいというか、これまでいただいた中で最もおいしいキャロットケーキだと感じました。どのような工夫をされているのでしょうか。

笠間さん(奥様)「そんな風に言っていただきありがとうございます。うちのキャロットケーキはにんじんの割合が多く水分が多いのが特徴です。そのためグルテンフリー特有のパサついた感じもないように思っています」

ーーキャロットケーキをいただいた時、スパイスの風味を強く感じました。キャロットケーキのスパイスには何を使っているのですか?

笠間さん(奥様)「キャロットケーキにはシナモン、ジンジャー、カルダモン、クローブ、ナツメグを使っています」

スパイスたっぷりなグルテンフリーのお菓子は、甘いものを食べたいけれど健康にも気をつけたいという方の需要を満たしているメニューだと思いました。日本でも海外でも近年健康ブームで体に良いものを食べる傾向が強まっているので、笠間さんのスイーツはより一層人気がでそうだと思いました。

ーーお店のスイーツは全てグルテンフリーで乳、卵など不使用ですよね。こうしたお菓子をつくるきっかけはなんだったのですか?

笠間さん(奥様)「以前働いていたお店がマクロビ系のものを多く扱っていたこともあり、アレルギーや健康を考えて食べるものを選んでいる方が多くいるということを知りました。また、周りの友人などにもアレルギーなどで食事制限がある人が多く、何かできないかと考えました。お店を持った時、こうしたお菓子をつくることで近隣の方々に楽しんでいただけたらという思いがありました。私ができることは少ないですが、小さなことでもアレルギーなどに悩む方のためになれれば良いと考えています」

ご夫妻は、お店にいらっしゃる方々や自分たちの作り出すコーヒーやお菓子への愛情に溢れた方だなと思いました。
お話を伺い、お店を出る際にはご夫婦揃って出口までお見送りをしてくださいました。そうしたお二人の丁寧で細やかな気遣いや優しさも、多くの方がお店に通いつめる理由の一つであるように思います。ぜひ多くの読者の方に、アットホームで素敵な空間のなか本格的なこだわりのコーヒーと絶品デザートを味わっていただきたいと思います。

店舗情報

店名
珈琲 笠間
住所
〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-7

(GALLERY BAR CHURCHWOOD内にてシェア店舗として営業中。2025年2月以降は単独のお店として営業予定だそう。詳細はInstagramをご参照ください)
最寄駅
吉祥寺駅
駐車場
なし
電話
なし
コロナ禍への対応
お店HP
https://www.instagram.com/coffee___kasama/
グルメサイト掲載

インタビュアー

SaveurAmi
日本

ライターとして「食」に関わる記事を執筆しています。これまで海外は約30ヶ国に訪れ、各地でその土地の食文化に触れてきました。食と異文化に関心があるので日本でも様々なジャンルのお料理を食べに行きます。この経験を活かし、多くの方に世界のお料理の魅力を伝えていければと思っています。