「おいしさや魅力を届けたい。」情熱が生んだインドネシア料理店
お店の紹介
吉祥寺駅南口から3分程歩いた場所に、本日ご紹介する「HATI DUA(ハチドゥア)」はあります。インドネシアの国旗がはためく外観からはアジアの雰囲気が流れています。その横に可愛らしい猫の看板があるのは、HATI DUAが居酒屋「呑楽Neko」で間借り営業をしているため。HATI DUAはランチタイムのみの営業で、夜は居酒屋「呑楽Neko」として別のお店に変わります。
看板に「唯一のインドネシア料理屋」という文言があるように、吉祥寺には本店舗以外にインドネシア料理屋さんはありません。吉祥寺だけでなく、都内を探しても希少な存在であるように思います。
打楽器や笛の音の音楽が流れ、シックで落ち着いた店内にいると気分はもうインドネシア。置物や照明もエキゾチックな空気を醸し出しており、音楽とよくマッチしています。席はカウンター席、テーブル席、ソファ席が用意されています。珍しいインドネシア料理が楽しめるのはもちろん、現地の風情ある雰囲気を感じられるという意味でも貴重な場所となっています。
料理の紹介
ランチは5種類のプレートから選びます。まずオーナー兼店長さんの舟川さんがメニューを持ってきてくださり、丁寧にお料理の説明をしてくださいます。
TODAY’S GULAIは日替わりのカレー。訪問日は鶏肉と白菜のカレーでした。各プレートにはサイドメニューから追加をすることも可能なので、メニューに迷った場合やもう少し食べたいという方はそうしたオプションもあります。
お店ではデザートやドリンクの提供もしています。デザートは日替わりで、伺った日はピサンゴレンというバナナを揚げたものでした。ドリンクもデザートも日本ではなかなか味わえないものなので、お食事後にお腹に余裕のある方はぜひ試してみてください。
私は「Ayam Bakar:アヤムバカール(1400円)」をオーダーしました。ココナッツミルクとスパイスで鶏肉を煮込み、味を染み込ませてから焼き上げるインドネシアのローストチキンです。
メインのお料理の前にSOTO AYAMというスープが運ばれてきます。SOTO AYAMはターメリックなどのスパイスを使ったチキンスープ。出てきた瞬間にスパイシーなよい香りが漂い、食欲が湧いてきます。
スープの中には卵や香草、フライドオニオンや春雨など多くの具材が入っていました。具沢山でスパイスの効いたチキンスープは体をポカポカに温めてくれます。
Ayam Bakarは、テープルに運ばれてきた瞬間、その美しさに思わず感嘆の声が漏れてしまいました。鮮やかなプレートはまさに芸術品。
色とりどりの品々がのったプレートはどこから食べるか迷ってしまいます。
迷いつつ、最初にいただいたのはメインのチキン。ナイフを入れただけでほろほろとほぐれていく鶏肉の柔らかさにまずびっくり。食べてみると噛まずとも口の中でとけていくお肉に、より柔らかさの程を感じました。ココナッツミルクとスパイスの味付けもよく絡んで抜群のおいしさ。チキンだけでもおいしいですが、チップスの下にあるライスといただくと旨みがさらに増していきます。ライスがさらりとしたインドネシアのお米なのも本場の味わいを引き立てる要素でした。
プレートには他にガドガド、アチャール、チップスなどのインドネシア料理ものっています。ガドガドは茹で野菜に甘めのピーナッツソースがかかったもの。このソースが野菜と混ざり合い、とても良い塩梅。チップスはそれ自体には味はほとんどないですが、味付けがないからこそどのお料理とも合い、パリッとした食感や香ばしさが良いアクセントとなります。アチャールはにんじんや大根などのお野菜に酸味のある味付けがされています。この酸っぱさが加わることで口の中が爽やかになります。
どれも現地の味を再現しながらも、日本人にも馴染むよう工夫して作られていることがわかります。見た目も美しく、お味もおいしいプレートは様々なインドネシア料理を楽しめる大満足の一皿でした。
お話を伺った方/オーナー兼店長の舟川さん
訪問時はオーナー兼店長の舟川さんに、様々なお話を伺うことができました。
ーーなぜインドネシア料理のお店を開こうと思ったのですか?
舟川さん「私は昔インドネシア料理屋で働いていました。お店の研修でインドネシアに行く機会があり、現地で様々な料理を試したことでよりインドネシア料理に魅了されていきました。こんなにもおいしいインドネシア料理ですが日本ではあまり浸透しておらず、お店もほとんどないため自分がそのよさを広めたいと思いました」
ーーお店にはインドネシア人のお客様もいらっしゃいますか?
舟川さん「はい。たくさんいらっしゃいます。インドネシア料理屋自体がまだほとんどないので需要があると考えています」
ーー調理から接客までお一人でしていらっしゃるのですか?
舟川さん「はい。一人で行っております。しかし実はうちにもインドネシア人のスタッフがおりまして週末など忙しい時には手伝ってもらっています」
ーーお店でのこだわりは何かありますか?
舟川さん「インドネシアはイスラム教徒の多い国なので、料理には基本的に豚肉を使用しておりません。全てにハラール認証がついたものは使うことは難しいですが鶏肉はハラール認証のついたものですし、ルンダンには牛肉を使用しイスラム教徒の方が問題なく食べられるお料理を提供しています」
私にもムスリムの友人がおりますが、日本は豚肉やラード、ポークエキスの入ったものやお酒をお料理や調味料(醤油やみりんなど)なども食べられないものが多いのでレストランを探すのが難しいということをよく聞きます。そのため、HATI DUAさんのようにイスラム教徒の方が安心して食事ができる場所は貴重だと思いました。
「本日いただいたアヤムバカールですが、実はインドネシアに行った際に一度いただいたことがあり、とてもおいしかったのでもう一度食べたくてオーダーしたんです」というお話をしたところ「アヤムバカールは地域によって味が違うのです。ちなみに本日お出ししたのはパダン地方のレシピで仕込んだアヤムバカールになります」と教えてくださいました。
ーー店名のHATI DUA(ハチドゥア)の意味を教えていただけますか?
舟川さん「インドネシア語でHATI DUAは2つという意味です。インドネシア人、日本人どちらにも楽しんでいただけるような料理と、インドネシア料理や文化を広めていきたいという2つの気持ちを込めてHATI DUAという店名にしました。」
お話を伺い、舟川さんからインドネシア料理への愛情や、そのよさを広めたいという情熱をひしひしと感じました。吉祥寺にお越しの際は、舟川さんの熱意から生み出された本格的なインドネシア料理をぜひ多くの方に味わっていただきたいです。