久米川から発信する、ボリューム満点なフランス料理のおもてなし
西武新宿線の久米川駅から徒歩4分の立地に、本格的なフレンチが食べられる料理店があります。お店の名前はラ・フルール・ド・セル、日本語で塩の華という意味です。
地域の人々から愛されながら15年営業しているお店の扉をくぐると、人を喜ばせるのが大好きなシェフのエリックさんがいます。
1999年に来日したエリックさんに、都心から離れた場所にお店を開いた経緯と、大切にしている考えを伺いました。
お話を伺った方/アロワ マルヤマ エリックさん
フランス、オーベルニュ地方出身。実家はミネラルウォーターのボルヴィックの産地から車で一時間ほどの場所にあります。14歳から料理の世界に入りました。
料理の学校を卒業後、お兄さんが経営しているシャルキュトリー(精肉、および食肉加工品の製造・販売店)でお肉の扱い方を学びました。以来、ソーセージやテリーヌは得意料理のひとつであり、お客さんから好評をいただいています。
パリをはじめフランス各地のレストランで腕を磨いた他、スペイン、イギリス、ドイツ、ポルトガルのレストランで料理長を務めました。
1999年に来日。料理の出張サービスをしたりフレンチの惣菜店で働いた後、2007年にラ・フルール・ド・セルをオープン。以来、オーナーシェフとして腕を振るっています。
東村山市でお店を開いたきっかけ
– 日本に来ることになった理由は? –
ロンドンで働いていたときに日本人の友人と知り合ったことがきっかけで、来日しました。
– 日本の印象はいかがですか –
綺麗で平和な印象です。治安が良いのはもちろんのこと、日本人の温和な人柄に触れて日本が好きになりました。どこでも安心して生活できるのがいいですね。
フランスも綺麗な国なのでその点はイーブンですが、平和をより感じられるのは日本です。銃を保持している人が日本にはいませんよね。
– 東村山市の久米川にお店を開いた経緯を教えてください –
伴侶であり仕事のパートナーでもある、佳子さんの地元が東村山だったからです。幼い息子の子育てのことを考えて、妻の地元でお店を開くことにしました。
東村山は長年住んでいる方が多くいらっしゃる街です。ここには妻と両親の知り合いが沢山いることも決め手になりました。
伝統的なフランス料理に意外性あり?心と体で堪能してほしい
– お店のコンセプトは何ですか –
当店のコンセプトは「本場の料理を」です。
お店をやっていると「なんでこんなところにフランス人が?!」って驚いたお客さんから聞かれます。フランス人の私がここに居ることに意外性があるからですね。
そこで意外性を更に活かそうと、本場の伝統的なフランス料理を提供するスタイルでやっていくことに決めたのです。
– 伝統的なフランス料理とは、どのようなものでしょう –
当店の料理を召し上がっていただければ分かると思いますが、ボリュームが多いんですね。
日本人が抱いているフレンチのイメージって、大きなお皿に料理がちょこっとだけ盛られているものではないでしょうか。結婚式のイメージが強いからそういうイメージを持ってしまうのでしょう。
だけどフランス料理は本来しっかりとお料理が乗っていてボリュームがあります。当店に来ていただいて、伝統的なフランス料理を知ってほしいというのが私の願いです。
お客様に満腹感と、他の店ではなかなかお目にかかれないパワフルな料理を食べた満足感を味わっていただけたら嬉しいです。
それから、フランス料理は本来しっかりとした濃い味付けのものが多い。
最近のフランス料理は日本食の志向を取り入れたりして、ヘルシー志向になっています。ヘルシーな食材を使ったり軽い味付けをするお店がフランス国内でもどんどん増えている状況なのです。
そのような中、当店は伝統的なフレンチを崩さずに提供してきました。伝統の味を守るために一番大切にしているのは、手作りのダシです。
いまでは巷でも簡単に作れる調味料が売られていますが、フォンやブイヨンなどのダシはソースのベースになる味付けの肝。だから、たとえ時間と手間が掛かっても手作りにこだわっています。
– 料理を通してお客さんに伝えたいことはなんですか? –
お店に来て料理を味わっていただき、フランスの田舎のレストランに来ているような気分を感じてくれたら嬉しいですね。
気軽に外食に行けなくなってしまった2020年以降は、テイクアウトにも力を入れています。鳩を使ったピジョンを提供したとき、「自宅でピジョンが食べらるなんて!」という有難い感想をいただきました。
テイクアウトもボリューミーなものをご用意しておりますので、自宅でフランスにいるような気分を感じてほしいと願っています。