地中海の日差し降りそそぐ食堂
皆さん、はじめまして。東京都下在住のライター、黒田侑(くろだ ゆう)と申します。
昔から食べることも作ることも大好きで、友達と珍しい外国料理を食べてまわったり、イタリアンレストランのキッチンで働いたりしてきました。
都心には多く見られる外国料理店ですが、今日は東京23区外のおいしいお店についてご紹介したいと思います。各国の雰囲気を味わいながら、楽しい時間を過ごすお手伝いができれば幸いです。
店の紹介
まずご紹介するのは、小田急線町田駅から徒歩5分にある「地中海料理コシード」。1986年にオープンした老舗です。
こちらのお店は、町田駅周辺ではかなりの有名店。「コシード」とはポトフのようなスペイン料理のこと。店外のメニューを眺めてみると、たしかにスペイン料理がその多くを占めています。
さて、人気店でいつも混み合っていると聞いていたので、ランチタイムのオープンと同時にお邪魔しました。
カウンター席、テーブル席、そしてテラス席もあります。
かしこまった洋食料理店ではなく、明るい食堂といった雰囲気でしょうか。黒板にもメニューがぎっしりで、目を奪われてしまいます。
カウンターに案内され、端っこに座ろうとすると、店主の田中勲さんが「そこは暑いのでこちらへ……」とキッチンから別の席をすすめてくださいました。
店主さんをはじめ、店員の皆さんも凛々しく爽やかで気遣いが素敵です。
ランチメニューのおすすめを聞き、選んだのは「マグロステーキ アリオリソース」です。
アリオリソースとはカタルーニャでよく用いられるにんにく入りマヨネーズソースのこと。定食のとっつきやすさがありつつも、地中海らしさが感じられそうな一品ということで、こちらにしました。
料理の紹介
スープ
まずはスープ。ちゃんと肉の旨味と野菜の味も感じられるコンソメスープでした。
マグロステーキ アリオリソース
そして、たっぷりのご飯とマグロのステーキ。
大満足のボリュームです。サラダも山盛りで、自家製ドレッシングは旨みがあって箸が進みます。お店で販売もしているほど。
醤油ベースのソースと、臭みの一切ないマグロのステーキ。かなりご飯が進みます。アリオリソースは水分が少なく、こってりしているようですが……意外とあっさり。ニンニクが効いていてマグロとの相性抜群でした。
途中、箸休めが。スパイシーでハーブの香りがかなりする、ピリ辛の一品です。口もさっぱりしますね。
サングリア
せっかくなので、自家製サングリアもいただきました。
こちら大人気で、ランチタイムにもよく出るようです。シナモンがしっかり香り、渋みもなくフルーティーでおいしいです。
手作りプリン
ここまできたら、もちろんデザートも。
「手作りプリン ホイップ添え」です。店内の張り紙には「フラン」と書いてありましたが、こちらはラテン語が語源。固めで素朴な味のプリンで、思わず顔が綻んでしまうほど。
くどくないカラメルも絶妙です。昭和の純喫茶的な……というと伝わりやすいかもしれません。
食後にコーヒーか紅茶が選べるため、アイスコーヒーをつけていただきましたが、スープにパンかライス、山盛りサラダとメインとドリンクのランチセットで1,100円〜。
食べ応えからしても味からしても、これはかなりお得なのではないでしょうか。
店員さんとおしゃべりをし、町田でこちらの店に来たことがないと言うと驚かれる、といった話で盛り上がりました。
また、このお店は昔から青山学院大学の陸上部の行きつけとして知られていて、青学駅伝ファンの方が訪れることもしばしば。ボリューム満点のお食事の数々も、運動部の男子学生たちのお腹を満たしていると思うと納得です。
それほどの有名店ではあるのですが、駅前のメイン通りには面していないので、どこか知る人ぞ知るという雰囲気もありますね。
カウンターで常連さんがお喋りをしていったり、会社員の人がランチに気軽に立ち寄ったり、はたまた女性の友人同士がおしゃれをして訪れたり。
忙しいなか店主さんも店員さんも帰り際にまで一言をかけてくれるあたたかさが垣間見えました。
人によってさまざまな楽しみ方ができる、素敵なお店です。
肩の力を抜いて、ウキウキとした気分で食事が楽しめる場所ですよ。気の置けない友人と笑ってお酒が飲みたいときにもいいかもしれません。
日当たりのいい店内と、カウンターのすぐ目の前でフライパンから上がるフランベの炎。
暑い夏の日に訪れると、賑やかでまぶしい地中海の下町で食事を楽しんでいるような、そんな気分にさせてくれますよ。