スウェーデンのパンと本格派コーヒーを味わえる鷹の台の憩いの場
「torpet」(トルペット)は西武国分寺線鷹の台駅の改札を出て、目の前の「たかの台本通り」を3分ほど直進すると左手にあります。
店名はスウェーデン語で「サマーハウス」という意味だそうで、まさに名前の通り、店の外観にも店内にもホッと落ち着けるような雰囲気が漂っています。
日本語が流暢で笑顔が爽やかな、スウェーデン出身のアダム店長にお話を伺いました。
お話を伺った方/アダムさん
―― ここで店長さんになる前は何をなさっていたんですか?
アダム店長: スウェーデンでは食品関係の仕事に携わり、チーズなどを扱っていました。
もともと料理が好きで、趣味でパンや日本料理なども作っていたんです。
―― 日本に興味をお持ちだったんでしょうか?
アダム店長: 最初は単に日本のアニメや漫画が好きだったんですが、次第に日本語に興味を持つようになって学び始めたんです。大学では日本語学科に所属して、毎年夏は岐阜大学のサマースクールに参加していました。
日本で働くようになったのは、留学でスウェーデンに来ていたオーナーと知り合ったことがきっかけです。
―― ずっと日本語を学ばれてきて、それを仕事でも生かせることになったんですね。
お店で販売されているスウェーデンパンの特徴を教えてください。
アダム店長: ライ麦を使ったハード系もあれば、甘いペストリーもあります。 定番はスパイスを使ったシナモンロールとカルダモンロールです。
スウェーデンにはFika(フィーカ)といって午前と午後に休憩を取る習慣があります。その時間にコーヒーやシナモンロールなどを楽しんで一息つくんです。
―― それは素敵な習慣ですね。美味しいパンとコーヒーがあれば、忙しくてピリピリしていても穏やかな心を取り戻せそうです。
フォカッチャやクロワッサンも置いているんですね。
アダム店長: 自分が好きな物を作っています。パン作りはどこかで教わったというわけではなく、独学で習得して今に至ります。スウェーデンのパンに限らず、作りたいと思うパンやお菓子を提供したいですね。
―― そんな店長さんが日々心がけているのは、どんなことですか?
アダム店長: 自分が満足できるようにパンを焼き上げることです。
―― 満足できない時もあるんでしょうか?
アダム店長: この間は黒パンの形が不満でした。湿気のせいで膨らみや形が思うようにならない時があるんです。そうなると食感にも差が出てしまいます。
―― 確かに日本は湿度が高いので厄介だと思います。
きっとお客さんが気づかないような僅かな差なんでしょうが、パン作りとはそれだけデリケートな作業なんでしょうね。
では、やりがいを感じるのは、どんな時ですか?
アダム店長: やはり「美味しい」と言ってもらえるのは励みになります。スウェーデンのパンはスパイスを使いますし、日本のパンみたいにフワフワではありません。でも日本風にアレンジしなくても、喜んで食べていただけるのは嬉しいですね。
―― 期間限定の商品もあるんでしょうか。
アダム店長: スウェーデンでは伝統行事としてシナモンロールの日、セムラ(アーモンドペーストと生クリームを入れたパン)の日、ワッフルの日などがあります。当店でも、その行事に合わせて作りますよ。また、週末限定でフォカッチャやフィナンシェ、ライ麦を使った気まぐれパンも販売しています。
―― パン以外のお菓子も種類が豊富で美味しそうですね。
アダム店長: バナナケーキ、チョコレートボール、クッキーは特に人気があります。
それからコーヒー好きのスタッフたちがいて、コーヒーにも力を入れているんです。限られた所でしか手に入らない生産者の豆も扱っています。世界的に有名な北欧式コーヒーを飲める店はそんなに多くないので、そういう意味でも当店ではコーヒーもお薦めなんです。
―― コーヒーに添えられたカードには、コーヒー豆と生産者についての説明が記されていますよね。どんな豆なのか少しでも理解して飲むと、さらに味わい深いです。
今後の抱負についてもお聞かせいただけますか。
アダム店長: 新しいことに挑戦するのが好きなので新商品も検討しています。サンドイッチなんかも作りたいです。イベント出店も積極的にやりたいと思っています。関東以外の地域など、少し遠方に出向くのもいいんじゃないかと。
―― それはお客さんにとっても楽しみですね。
最後に、これから来店される方々にメッセージをお願いします。
アダム店長: うちのスタッフは商品にとても詳しいので、気軽に質問したり話しかけたりして楽しく過ごしていただきたいです。そして、いろんな種類のパンやお菓子を食べてみてください。
あとがき
店のショーケースと棚に並べられた美味しそうなパン。見た目だけじゃなくて味もいいのは、客足が途絶えないことからもうかがい知れます。実際に私もいただきましたが、どれも本当に美味しくて、毎日通える近所の人たちがうらやましくなりました。
店長さんが信頼を寄せるスタッフさんも対応が丁寧で、一人一人と談笑し、荷物が多い方などにはサッと手を貸すなど、お客さんを心から大切に思っている様子が伝わって来ました。
「torpet」(トルペット)ではフレンドリーな店長さんとスタッフさんたちが迎えてくれますので、一人で行ってもすんなりと溶け込めます。美味しいコーヒーとパンを堪能しながら、日常にもフィーカを取り入れてみてはいかがでしょうか。