自由な雰囲気が漂うヨーロッパ・スタイルのカフェ
今回お邪魔した「Cafe de Fleurus 27」(カフェドフルリュス27)さんは、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて8分ぐらいの所にあります。お店に行くには、まず聖蹟桜ヶ丘駅の東口を出て川崎街道を左に直進してください。突き当たりにある「新大栗橋」の信号を渡って、細い坂道(都道18号線)を上ると左手にお店が見えます。そのすぐ横にあるのは、ジブリのアニメ「耳をすませば」に登場した大栗橋と大栗川です。
お話を伺った方/富澤隆義さん、ラウラさん
お話を聞かせてくださったのは「Cafe de Fleurus 27」の店主である富澤隆義さんと、経営のパートナーでもあり奥様でもあるLaura(ラウラ)さんです。
― 早速ですが、店名の由来を教えていただけますか?
隆義さん: 「Fleurus」はパリにある通りの名前で、店名は「フルリュス通り27番地」という意味になります。実際のフルリュス通り27番地は、20世紀前半にアメリカ人作家ガートルード・スタインが住んでいた場所なんです。
ガートルードは兄と共に、まだ有名になる前のセザンヌやピカソなどの才能を見いだして、彼らの絵を買ってコレクションにしていたといいます。そういった新進気鋭の芸術家や、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドなどの作家たちが、彼女の元に集まって親交を深めていたのは有名な話ですよね。
そんな場所にあやかって名付けたんです。
― その集まりはウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」でも描かれていました。
夢と情熱を持った人たちが集った場所が店名になっているなんて素敵です。
このお店は内装もセンスが良くて、コントラバスやピアノまで置いてあるんですね。
隆義さん: ヨーロッパのカフェのような自由な雰囲気を目指しています。
コロナ以前は学生たちが店内でライブをしていました。
今では弾きたい人が好きなように演奏して、居合わせたお客さんと一緒に楽しんでいます。
― 気楽な感じがいいですね。テラス席も気になります。
そういえば犬を連れての来店も可能なんですね。
隆義さん: テラス席は天気が良いと気持ちいいですよ。
ヨーロッパでは犬連れで食事するのは珍しくありません。散歩の途中にでも気軽に寄ってほしいなと思います。
― 提供されているお料理は、イタリア料理なんでしょうか?
ラウラさん: 私は両親がイタリア人で、スイスで生まれ育ちました。だから私が作るのはイタリアの家庭料理がベースになっています。
隆義さん: パスタやピザがメインですが、特に何料理という枠にこだわるつもりはありません。
そんなに本格的な物は作れないですしね。(笑)
ラウラさん: いいえ、本格的ですよ。全て手作りですし、材料も新鮮で良い物を厳選しています。
― 確かにサラダの野菜も新鮮だし、パスタの麺もモチモチで美味しかったです。
謙遜されていますが、実はいろんなこだわりがあるんじゃないでしょうか。
隆義さん: まぁ、やるからには、きちんとした物をお出ししたいですね。(照笑)
ラウラさん: 夫はお酒も担当しています。とても詳しいんですよ。
― ワインのメニューが豊富ですよね。店内にもたくさんボトルが飾られています。
隆義さん: 妻の叔父さんがレストランを経営していて、そこで上質のワインを飲ませてもらっていたんです。店内に飾っているのはその時に飲んだボトルです。
店では地ビールの他に趣味で日本酒も置いています。すぐ近くに有名な酒屋さんがあって、そこで話を聞きながら仕入れています。
― ワインやビールに限らず日本酒まで飲めるというのは、お客さんも嬉しいでしょうね。
ラウラさん: そうですね。そういうお酒に合う料理を提供したいと思っているんです。
― お料理はもちろん、デザートのバスクチーズケーキも、しっとりしてすごく美味しかったです。
ラウラさん: テリーヌみたいですよね。デザートは私が担当しています。
― お二人は、ご夫婦としてもカフェの経営者としても、とても息の合ったパートナーという感じがするのですが、どんなふうにして出会われたのでしょうか。
隆義さん: 出会ったのはロンドン近郊です。
ラウラさん: まだ二人とも20代の頃で、私は語学留学中だったんです。
それで結婚してしばらくはスイスに住んでいたんですが、夫の実家に戻ることになって日本に来ました。
― 日本に来るのは不安ではなかったですか?
ラウラさん: その時は日本語が話せなかったんですが、日本には良い印象があったし、私も若かったのでワクワクしていましたよ。
― きっと、ご主人と一緒だからというのも大きかったんでしょうね。
最後に今後のプランをお聞かせください。
隆義さん: 現状維持です。今まで、このやり方で楽しくやってきました。これを維持できたらいいですね。
ラウラさん: 私たちは何かあったら、その都度2人で決めてきたんです。先のことは考えていません。これからも、その時々で決めていくと思います。
あとがき
ご多忙な中で丁寧に取材に応じてくださった隆義さんと、笑顔がチャーミングなラウラさんご夫妻。そんなお二人が作り上げたお店らしく、店内はとても和やかです。
お話を伺った金曜日のお昼は比較的空いているとのことでしたが、2組のお客さんたちのお喋りが弾んでいました。
かつてのフルリュス通り27番地のように、芸術、料理、お酒を楽しめる心地いい空間です。ぜひ、ぶらりと寄ってみてください。