コンセプトは食事に合うパン。パンとの関わりを教えてくれるベーカリー
お店の紹介
吉祥寺駅から徒歩10分程歩いた場所にある「Boulangerie Bistro EPEE(エペ)」は、
一軒家のフランスの食堂を思わせるおしゃれな外観と雰囲気が特徴的なお店です。外からパンをつくっている様子が見え、入店する前からわくわくした気持ちを高めてくれます。
訪問日は平日にも関わらずたくさんの人がお店にいらしていました。店内に入れる人数は6名までと制限されているので、自分の番になるのを待って入店します。
一見ブーランジュリー(フランス語でパン屋の意味)のようですが、入店するとパンを販売している横にビストロがあります。お食事できるスペースの横にはパン釜があり、焼き立てのパンのよい香りが食欲を刺激します。
ビストロにランチを求めて入店してきたお客様も多くいらっしゃいましたが、予約をされていない方はお断りをされていました。平日にも関わらず予約でいっぱいの状況から、人気のほどを感じます。ランチには何種類かのパンをおかわり自由でいただけ、それが人気を集めている要因の一つなのだとか。
ランチだけでなく、ディナーや週末限定でモーニングもやっているそう。どの時間帯も大人気のため予約は必須。お客様がたくさんいらっしゃり写真は撮れませんでしたが、訪問時は皆さんお食事とパンを味わいながらゆったりと時間を過ごされていました。
カテゴリーとしてブーランジュリーなのかビストロなのか迷ってしまうお店ですが、実はどちらも正解。お店ではコンセプトとして「食事に合うパン」を製造。逆にビストロではパンに合うお料理を提供しているそうです。単なるパン屋さんでもビストロでもなく、ただのパンやお料理をつくるわけでないのがこのお店の特徴なのです。
筆者はこれまでこうした発想でパンを食べていなかったので、新鮮な考え方に視野を広げられた気がしました。このようにBoulangerie Bistro EPEEはブーランジュリーとビストロが融合した新しいスタイルのお店。パンを食事と合わせて楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことを念頭に置いて商品の提供をしています。
食事に合うことを前提に考えられたパンはバリエーションも豊富です。たとえば、米を主食とし、和食を食べる日本の食文化に合わせ米粉をブレンドしたパンをつくったり、合わせるお料理のジャンルによって国産小麦やドイツ・フランス産小麦の配合を変えて商品を生み出すなど、1つ1つに工夫が凝らされています。パンのコクが異なるという理由から、生地を寝かせる時間も変えているそう。
お店の方に「人気商品はなんですか?」と伺ってみたところ、「当店ではいくつかの食パンを用意しており、人気でいうと食パン類がダントツです。リピーターのお客様も多く、毎日ほとんどが完売してしまうんですよ。」とのこと。棚を見てみると、確かにペーシックな角食パンにマスカルポーネや黒糖を混ぜた食パン、ミニ食パンやキューブ食パンまで多種多様な種類が並びます。
日常生活にパンがあるフランスのパン屋さんをイメージしてつくられたという本店舗。
しかし、お店があるのは日本なので、日本の人々が毎日求めるパンを作りたいという思いから、フランス式のパンだけでなく日本の定番である食パンを扱うことにしたと言います。
作りたてのおいしいパンを提供したいということで現在、オンラインショップはないそう。「パンは開店と同時に多くの種類があるのですか?」と伺うと「平日は13:00頃、土日はそれより少し遅い時間帯に大体のパンが揃います。」とのことでした。色々楽しみたい方はそれに合わせてお店に訪れることをおすすめします。筆者が伺ったのは午前中だったので品数は少なめの時間帯とのことでしたが、それでも多くのパンが並んでいるように感じました。
料理の紹介
購入したのは塩バターロール(160円)とキューブ(230円)という立方体の食パン。具沢山のスープやお肉料理と一緒にいただくことを考えていたので、パン自体が主張せずお料理の味を引き立てるような商品を選びました。食事に合わせてパンを選びながら、お店のコンセプトである「パンを食事に合わせる楽しみ」が味わえるのもBoulangerie Bistro EPEEの魅力だと感じました。
塩バターロールは中にバターが入っており、少し温めるとバターがパンの生地に染み込み、よりおいしくいただくことができます。ソフト過ぎず、噛むごとにしっかりと味わいを感じる生地は香りや味にも深みがあり、中のバターや表面についたお塩とのバランスもよくおいしいです。お塩が粗塩なのも柔らかいパンと異なる食感を楽しめてよかったです。バターの味がじんわりするパンはお肉やお野菜との相性も抜群でした。
キューブは購入の際にトングでつかんだ感触が柔らかいことにまず驚きました。お店の方に「どのように食べるのがおすすめですか?」と伺ったところ「トーストしても美味しいですが、そのままで味わっていただくのがおすすめです。」と教えていただいたので焼かずにいただくことにしました。
まずはちぎってそのまま食べてみたのですが、柔らかくもっちりした食感にほんのり甘い生地がおいしく、思わず笑顔になってしまいました。その後は切ってお料理と合わせましたが、主張をし過ぎない優しい味わいなのでスープやグリルなど、どんなお料理ともマッチしていました。
EPEEの食パンは小麦粉に熱湯を加える湯種製法で作るため、時間が経ってももちもちの食感が消えないと聞いていましたが本当にその通りでした。シンプルな味わいは毎日食べても飽きないですし、まさに「パンのある食卓」を考えて作られた商品だと思いました。
食卓にパンがあるという光景は日本でも定着してきましたが、パンに合うお料理は何にしようと考えるフランスのような家庭は少ないように思います。しかし、このようなお店があれば、いつかパンに合わせて献立を考える家庭も増えてくるのではないでしょうか。Boulangerie Bistro EPEEは、そんなパンとの関わり方を教えてくれるお店です。訪れた際には、ぜひパンとお食事のマリアージュを考えながらパン選びをしてみてください。